2019.2.2
高橋工房の「浮世絵版画実演」ワークショップ
浮世絵の場合は、絵師、彫師、摺師と分業になっていて、そのプロデュースをするのが版元ということですが、現代の蔦屋重三郎ともいうべき、江戸浮世絵版元13代目高橋由貴子さんをお迎えして、浮世絵木版画についてのお話と、浮世絵の版木からの手刷り体験ワークショップを開催しました。江戸時代には、浮世絵が、庶民の手に届くものであったがゆえに、オリジナルの昔のものは、多くのものが、焚き付け紙等に使われて、国内には無くなってしまっているそうです。現存する古い浮世絵は、保護紙として、伊万里等の陶器の輸出に使われていたものが、たまたま海外の人の目に留まって、ジャポニズムの流行を引き起こした結果、大切に扱われたために残ったのだそうです。高橋さんが、実際の浮世絵を何枚も持って来られ、その現物を見ながら、お話を聞くことにより、浮世絵に対する見方が深まりました。例えば、夜の星や、花火のキラキラとした表現をするために、雲母の粉をふるいかけるなど大変細かい技が使われています。雨の表現なども、大変細い線の彫りなど、大変繊細な技巧が施されているのだそうです。貴重なお話を伺った後は、実技で、実際に今の摺りに使われている版木と高級なバレンを使わせていただいてブックカバーを刷りました。